『天国旅行』三浦しをさん 新潮文庫。
この作品は『死』と絡めた幾つかのお話からなっています。今回も不思議な世界観に楽しませていただきました♪
現実の世界に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。樹海で出会った男の導き。命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言。前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢。一家心中で生き残った男の決意。でくちのない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶けだしていくーあらすじより。
読み終えた今、生きている事の尊さ。平和な日々への有り難さ。を強く感じました。
その中でも「遺言」のラストの一文は特に心に染みました。「私のすべてはきみのものだ。きみと過ごした長い月日も、私の生も死も、すべて」
読んだ瞬間、思わず涙が溢れました。
深い愛がなければこの言葉は出ないし、この言葉をこれから一人で生きていく為の糧にするには、それを受け止める側も同じ気持ちと熱量がないと成立しないと思います。
私たちもこんな風に思える、受け止められる夫婦になれるだろうか。
(もし、そうなる過程にあんなにもハードなエピソードが必要ならば無理だろうなぁ…。それに、これからあれほどの強い独占欲なんて湧くのかな?愛するにもエネルギーが必要ですよね…。自信ない 笑。ですが、きっと私は本当は愛したいのだと思います。夫よ、もっと大人になってー!!! 笑 失う寂しさを恐れて人と距離を取るべきかと思った時期もありましたが、やはり愛する人がいた瞬間をいとおしいと感じる人生の方が素敵だと思うから。)
この作品を読んで、ますます三浦しをんさんの作品のファンになりました♪
(どのお話もモヤモヤした物が残ります。すっきりした結末やストーリーを好まれる方にはオススメできません。ですが、それを越える物があると思うので本当は読んで欲しい 笑)
色んな意味で、背筋がヒヤッとする作品が詰まっています。読むなら今がオススメです!
他の好みではないと判断した作品も読んでみたいです。いや、絶対に読みます!!
好きな作家さんがまた一人増えて、今、とても幸せです♪