この物語は毬子という人柄が良く少しあか抜けない少女が演劇祭で使う絵を描くために、誰もが一目置く憧れの先輩たちから、自宅で夏合宿をしましょうと誘いを受けるところから始まります。
それをきっかけに今まで関わることの無かった異性とも接する様になり、毬子の周辺は慌ただしくも、そうなることが必然だった様に変化していきます。
誘ってくれた先輩の名は香澄。彼女の自宅はかつて不運な事故があった場所でした。
そして、もう一人の先輩の名は芳野。二人は常に一緒にいて、その親密な様子は何か秘密を共有しているかの様でした。
夏の日を皆と過ごすうちに、色んな人の思惑に振り回され、憧れだった二人のことを毬子はどの様に見たら良いのか分からなくなり混乱します。
そして、秘密が少しずつ明るみになっていったある日。大事なことを思い出します。
彼女たちが毬子を必要とした理由も分かります。
ネバーランドと似た雰囲気を持つ作品でした。今回の方がミステリー色が濃く出ていた様に思います。とても楽しませて頂きました。
やはり、恩田さんの作品の世界観には私を引き付ける何かがあります。
他の作品も読んでみたいです。
この物語は少女から女性になる一瞬を切り取ったお話です。とても儚くて美しい世界にすっかり魅せられてしまいました。
読み終えた今、失ったものと同じ年代に体験できなかったものをハッキリと目にして、少し気持ちが落ち着きません。心にぽっかりと穴が開いたような気分です。彼女たちに感情を重ねることで少し若返った気もします。
ずっと、少し年上の女性の話を読んでばかりいましたが、たまには昔を振り返ってみるのもいいものだと思いました。