西さんの作品にはいつも不器用でどこか憎めない人たちが登場します。
今回の舞台の主人公「葉太」も他の人と同様に生き辛さを抱えた人物ではあるのだけれど、一度読んだだけではいつものような愛すべき部分が見つかりませんでした。
葉太の感情は余りにもいきすぎていて恐いと感じたからかもしれません。
葉太は初めての海外旅行初日に盗難に合い、
それを哀れまれるのが嫌だと理由で1日4ドルの極限生活を選択します。
その選択をした時点で引いてしまい。やることなすこと拒否反応が出てしまいました。
昔のエピソードと共に敢えて厳しい方へ進む理由が記されているのですが、その感覚が私にはありませんし、結果的にその人の為になるとは言え、誰かの不幸を望む感覚も理解し難いものでした。葉太とは相性が悪いようです。
そもそも、西さんが『自分を「演じる」こともある。そんな自分を愛して欲しい』と帯に書いていらっしゃるのですが、私はその場に応じて演じる事を悪だとは思っていないので、この作品のテーマ自体と合っていなかったのだと思います。
この本を読んでやはり拘りがあると生き辛くなるのだな。と思いました。
私自身もそれにがんじがらめになっている真っ最中なので、そういう意味では今読むべき本だったのではないかと思います。
ただ、方法としては参考になりませんでした(笑)
今、夫との感覚の違いに悩んでいる事もあり、分からない感覚がこの本を楽しめない要因だったのかもしれません。
次は女性が主人公の作品を読みたいと思います。