ーあらすじー
とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。
【「BOOK」データベースより】
本より映画の存在を先に知り、どちらで観るか迷った結果、本を選びました。
予想以上に重い内容だったので、初めてが映像でなくて良かったと思いました。
現役の精神科医が著者だけあり臨場感が凄く、映画で観ていたら、途中で投げ出したかもしれません。
現実だと思いたくない程に登場する人物達の置かれた現実は壮絶で、病院の内情は目を覆いたくなる程悲しい物でした。
ですが、悲しい事にこの本の世界で起きた事はこの世界でも起きています。やりようがあるはずなのに。どうしてこの悲しい連鎖は止まらないのだろう。
読み終えて、今勉強している資格に通じる事なので、私にできる事はないか探してみたいと思いました。
個人主義な現代ではますます増えるように思えてならないのです。加害者にも救済が必要。孤独がこの世から無くなりますように。
『その優しさをあなたは咎めますか?』との問いかけが裏表紙に書かれているのですが、私の答えは「咎めることはできない」となりました。
起きてはいけないことだけれど、受け皿がない現状では仕方のない事だと思いました。
因果応報。
どうして、人は他人を傷つけるのだろう。自分の鬱憤を他人にぶつけるのだろう。そういう甘え方ではなく、助けてと言えると良いのになぁ。
そうしたら、因果応報も悪い報いなど起きないのに。
読み終えたあと、映画の配役を観てみたのですが、主人公のチュウさんは私の中では綾野さんではないなぁ。星野源さんはどうだろう?秀丸さんは鶴瓶さんがしっくり来すぎて、読んでいる間ずーっと秀丸さんが登場すると、鶴瓶さんの顔が浮かびました笑。
島崎さんも、小松菜奈ちゃんではないなぁ。ACのCMに出ている相川唯ちゃん?がしっくり来ました。菜奈ちゃんは可愛いけれどちょっと大人すぎて儚さが足りない様な気がします。重宗も写真を観てみたのですがしっくり来ませんでした。映像で観たらまた違うのかな??
基本的には内容を知った作品を他の媒体で観ないのですが、これは映像で観て私のこの感覚が正しいのか答え合わせしたくなりました。
久しぶりの読書で最後まで読める自信がなかったのですが、どうして登場人物たちが精神科に入院するに至ったのか、その後どんな道を歩む事になったのかまで丁寧に書かれており、418ページと長めの作品なのですが、いっきに読みました。
とっても良い作品だと思いました。
ただ結末がモヤっとするので、続編があるといいなぁと思います!