ゆるゆるな毎日♪

日々あったことを綴ります。

最近読んだ本たち。4ー3.

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『ぼくから遠く離れて』辻仁成さん 幻冬舎文庫

【あらすじ】その名前じゃ、女の子になれないでしょう?大学生の光一に次々に届く、keyという謎の女性からのメッセージ。やがてkeyは、光一に名前を変え、女装することを強要しだす。「ぼくがぼくじゃないみたい」。鏡に映ったもう一人の自分を愛し始めた光一。自ら選んだ性を生きる日本人たち。望んだ肉体と精神が手に入る驚きのラスト!

 

少数派の嗜好。

少数派の嗜好を持つ事自体には良いも悪いもないと思うのです。

それを自分自身がプラスに取るかマイナスに取るか。それにより答えがついてくる様に思います。

私自身も子供を持たない選択をしている事を一般的ではないとは思っていますが、不幸とも辛いとも感じていません。

子供が欲しくない気持ちを他人に咎められて初めて、この感情を負に感じます。

「私はどうして多数派ではないの?」と思うのではなく、咎める相手に対し、他人の人生を操作し、自分を幸せにしようとしないで!煩わしい。と思います。その感情を抱く事は私には辛い事です。

 

それをふまえて、keyのした行為は大きなお世話だと思いました。

keyに悪気はないとは思います。光一を思ってしたのだと思います。ですが、私の目から見ると、光一を思ってしたと言うより、key自身が快楽を獲たい気持ちの方が大きいように感じました。

貴方の為。この言葉が頭にちらついた時、その行動は自分の行いを許したり正当化しようとしている証し。しない判断をした方が懸命だと思います。

光一が自分でその嗜好に気付き、悩んでいる様子だった時に手を差しのべる事がkeyにできる光一にとって為になる行為だったのではないかと思うのです。

どう転ぶか分からない他人の事情に手を出すべきではないと思います。

良かれと思って。この行為は罪深い。私も気をつけたいと思いました。

 

表紙の画像を探している時にこの本の口コミを目にしました。その星の数は1.5。

それに衝撃を受けました。

確かに、キャラの濃い登場人物たちがさらっとしか主人公に関わらない事に物足りなさがあったり、光一の今後をもう少し見ていたかったなぁ。とは思うのですが、どうしてこんなに評価が低いのか不思議でなりません。

keyの正体が分かりやすかったのが不評なのでしょうか…。後で読んでみたいと思います!

主人公を光一ではなく、「キミ」と終始呼ぶ所が私には心地良かったですし、登場人物は皆、魅力的でした。他の辻仁成さんの作品も読んでみたいと思いました。