ゆるゆるな毎日♪

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最近読んだ本たち 。2ー35 .

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『繭』青山七恵さん 新潮文庫

ーあらすじー

美容師の舞は、結婚して一年になる夫に対して暴力を振るう自分を止められずにいた。ある晩、彼への暴力から逃れるように家を出ると、店の客である希子と遇う。

同じマンションの住人と知り、二人は交流を重ねるが、希子は舞の夫のある秘密を抱え、舞に近づいていた。

白壁の棲家で紡がれる歪な愛の支配にもがきながら、やがて渾然一体と追い詰められる女たち。怒濤の展開に息をのむ、衝撃の物語!

 

話は重く胸がざわつく内容なのですが、青山さんの表現が綺麗で丁寧なので最後までスラスラと読む事ができました。

心の描写も細かくてDVをする人の心理が少し知る事ができたような気がします。

きっかけは些細な事で、振るう側は苦しみはあるものの思っていたより軽く感じている事に驚きました。(自分に甘いからそんな事ができるのでしょうけれど。)

舞は仕事熱心で人当たりの良い端から見ると好ましい人物像です。それが夫の前では暴力が止められない。夫はかなりの曲者ですが、それでも暴力はさせるのではなくて振るう側の問題だと強く感じました。

被害者が加害者から早急に離れる事がお互いにとって最善だと思いました。そういう点では被害者が煽っているとも言えるかもしれません。側いるより暴力をさせないのが愛だと思うのです。

 

激しい暴力を振るう舞。それを許す夫。舞に近づく希子、その恋人の遠藤。皆がそれぞれに普通ではないと思うのだけれど、果たして自分自身はどうなのだろう。普通の人って、普通の夫婦って、一体なんなのだろう。と頭が混乱しました。

皆の持つ強い個性は私にはないけれど、その欠片のような物を私の中に感じるのです。

例えば、舞が暴力を振るうきっかけは私が日頃夫に対して募らせる不満と大差ないのです。私はイライラしても夫には暴力を振るう事はないけれど、怒ったり責める事も言葉の暴力なのではないだろうか。でも優しく言っているうちに改善しない人に怒りを感じるのはおかしいの?改善って完全に私目線だよね…。やっぱりおかしい?そして、それに対して謝ってくる夫はどういう気持ちなのだろうかと。舞の夫の様な歪みを持っているの?私たちはどこにでもいる普通の夫婦なのだろうかと暫く悩んでしまいました。

結果、私たちは人を巻き込んでないからセーフ。お互いがもっと譲り合えたら素敵だよね。と思う事で自分を納得させました。夫に何かを要求する気持ちとはもっとしっかり向き合いたいと思います。

そして、普通かどうかに拘るのではなくて、自分と相手との相性をみて人付き合いをしたいと思いました。

暴力はいけないことですが、舞と夫の喧嘩の発端はどちらが悪いかは読んだ人の価値観だと思ったのです。それに、あの夫でなければあそこまでエスカレートする事はないとも思うのです。

 

話の内容は私にはそこまで驚くような内容ではありませんでした。そして、結構なページ数読んだけれど、こんな終わり方なんだ…。これがドラマなら次回作を作るつもりなんだなぁと思う。と言うのが感想です。

現実味を持たせるにはこれぐらいが丁度良いのかもしれませんが…。

その反面、そんな上手くいかないだろと思うシーンが多々あります。

ただ全体的に暴力シーンが多いのが衝撃的ではありました。人には薦めにくい本です。