『この闇と光』服部まゆみさん 角川文庫。
あらすじ:森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き
耽美と幻想。このワードに惹かれて手に取りました。よく見たら書かれたのは服部まゆみさん!迷わず購入を決めました。
世界観に惹かれただけではなく、甘やかされたお姫様がどう一人立ちをしていくのか。どうして幸せな世界が崩壊したのかにも興味が湧きました。読む前にこんなにもワクワクしたのは久しぶりです。
何だかんだとありつも、良くあるお伽噺のように素敵な王子様とハッピーエンドとなるのだろうか。それとも、自分の道を切り開き逞しく生きていくのか、果たしてどういうお話なのでしょうか?
最初から最後まで読んでいて気持ちの良い内容ではありませんでした。
それでも、私のように耽美な世界に惹かれる方には救いもあります。特に本が好きな方は胸がざわつきながらもきっと引き込まれると思います。(登場する本を通して登場人物の心情が伝わってきます。)
結末は…。予想外過ぎました。
(服部さんの作品を読まれた事がある方はそう来たか!と思われると思います♪)
幸せって何なのだろう。
主人公にとってこの結末は正解だったのだろうか。と読み終えた後に考え込んでしまいました。
起きた事はまさしく光と闇。
一見、光が正しいように見えるけれど、本当にそうだと言えるのだろうか。
今の私には答えが出ませんでした。
この先のお姫様の結末を知る事は永遠に叶いません。それがとても残念です。
服部まゆみさんは2007年に亡くなられているのをこの本で知りました。
もうこの世界に触れる事ができないのがとても淋しいです。
(数ヶ月前に見た文庫の新刊。少し高くて購入を躊躇っていましたが、買おうと思います!)
正しさは大切。だけれど、端から見たら、幸せとは呼べなくても、主人公が納得のいく人生を送って欲しい。そう強く思いました。