『ボクたちはみんな大人になれなかった』
燃え殻さん。 新潮文庫。
テレビでこのタイトルを知った瞬間から心惹かれました。私も大人になれていない気がしたからです。(もしかしたら、大人になれなかったのは亡くなったから。という可能性もありますが…。)
直ぐに書店に行くも発売されたのは単行本…。私はできるだけ文庫になるのを待つようにしているので、その時は断念し、ずっとこの本を読める日を楽しみにしていました。
主人公は私より8歳年上の男性。(イチローと同じ歳とあったので、現在は45歳)舞台は1999年前後の東京です。
あらすじが書かれていないので、詳しくは書きませんが、この本を読んでいる時、とても優しい気持ちになれました。
1999年に懐かしさを感じるのと、彼の感情が手に取るように伝わってきたからだと思います。それぐらい、すっと心に染み込むお話でした。
もしかしたら、東京に染まりきれない彼と私は似ているのかもしれません。
彼にとってのあの頃は私にとっていつなのだろうと考えてみましたが、思い浮かびませんでした…。もしかしたら、今がその時なのかもしれません。
何気ない毎日。飾らずにいられる日々が急に愛しくなりました。
表紙には、「好きだった人の名前を、SNSで検索した事がありますかー?」と有ります。
私はあります(笑)
まだFacebookがなかった頃で、ミクシーが全盛期でした。私は登録していなかったので、当時、登録していたGREEで元カレの名前を検索してみたら、一人見つけて、本名を登録してる…。とかなり引いた。という、本の問いかけとはちょっと方向性が違う想い出があります。(その後…、出会わないようにかなり気を使いました。ある意味、調べて良かったです♪)
ちなみに今は検索したいとは思いません。
彼らの現在は知らなくて良いことだと思いますし、繋がりたいとも思わないからです。
そんな気持ちになる恋愛しかできなかった事は少し淋しい気もしますが、上手く過去にできた事はある意味幸せな事なのかもしれません。
きっと、今後も彼らだけでなく、誰の名前も検索しないと思います。
いて欲しい人とは既に何らかの形で繋がっているのもありますし、過去にすがらなくても大丈夫なぐらいに私は強くなったのだと思います。そして、今が思っているより幸せなのかもしれません。
私はずっと、大人になれていない。と思っていたけれど、知らないうちに大人になっていたようです。
この本を読まなければきっとこのことに気付けませんでした。
読んで良かった。