ゆるゆるな毎日♪

日々あったことを綴ります。

最近読んだ本たち。 2ー27.

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『ふる』西加奈子さん 河出文庫

主人公は池井戸花しす。(かしす)仕事はアダルトビデオのモザイクかけ。

趣味はICレコーダーでの隠し録り。

「いつだってオチでいたい」と望み、過去を愛おしみ、誰の感情も害さないことにひっそり全力を注いでいる。ーあらすじよりー

名前。職業。趣味。彼女のポリシー。全てが気になって見つけた瞬間に購入を決めました。

 

今回読んだ本はこれまで読んだ西さんの作品とは少し違う印象を持ちました。

いつもは厳しい現実の中で傷だらけになりながらも、自分の気持ちに正直に真っ直ぐ生きる潔さを持っていたり、不器用過ぎて少し見ていてイライラするけれどなぜか憎めないと言った、ピュアな魅力を持った主人公を描かれていたように思うのですが、今回の主人公は少しそれとは違いました。真逆にすら感じるようなタイプでした。

一言で言うと花しすはこずるいのです。

でもそれがいけない事なのかと問われると、返答に困ります。昔の私ならダメなことだと胸を張って答えていたと思いますが、今はその人なりの理由を尊重したいと思ってしまうのです。それを不快と思うのであれば離れればいいし、彼女の為に注意するのも自由。

自分の価値観で他人にこうあるべきだと批判するのは違うように思うのです。

 

 彼女の生き方と私の価値観が合わないからなのか、ストーリーもいつもと違い現実と非現実が絡みあった不思議な世界観であったからなのか、読み終えたあと、いつものようにあー、良かった♪元気を貰った!とスッキリした気持ちにはなりませんでした。

あれは結局何だったの??と疑問が残り、あとがきを読んでなんとなく納得する感じで、珍しく不完全燃焼感があります。

ですが、それでも読んで良かった。と思えるのは、西さんの作品が好きだからなのか、この作品を世に送り出す西さんの自由を尊重しているからなのかは分かりません。

 

西さんが帯に「いのち」のことについて書きたかった。と書かれているのですが、その思いはしっかり受け取れたように思います。

与えられた命が私の元を去る日までどのように生きていこうか。

そんな事をじっくり考えたくなりました。

 

★花しすの仕事について、こういう仕事が世の中にはあるのだなぁと興味を持ちましたが、私には勤まりそうにないなぁと思いました。

モザイクをかけるその部分を見ることは慣れれば大丈夫だと思うのですが、そういうプレイを見るのは私には無理だと気付き勤まりそうにないな。と思いました。実際に目にしたらトラウマになりそうです。

まだまだ何でも受け入れられる寛容さを持つには時間がかかりそうです。というより、何でもかんでも受け入れなくてもいいな。と思いました(笑)

仕事には適材適所というものがある事を改めて実感しました。

 

★花しすの趣味について。

何が楽しいの?何の為?と思っていましたが、それをする理由が分かって目から鱗でした。私はこれからもすることはないな。と思いました。

 

★彼女のポリシーについて。

私は同じ場面に遭遇したら真逆の反応をすると思うので、そういう価値観を持って生きるとどういう結果をもたらすのかに興味を持ちました。

その結果はどっちもどっち。周りに合わせて臨機応変に。が賢い処世術なのだと思いました。

 

次はどんな人物と会えるのかを楽しみに、また他の作品も読んでみたいと思いました。