『終電の神様』 阿川大樹さん 実業之日本社文庫。
あらすじ:父危篤の報せに病院へ急ぐ会社員、納期が迫ったITエンジニア、背後から痴漢の手が忍び寄る美女…。
それぞれの場所へ向かう人々を乗せた夜の満員電車が、事故で運転を見合わせる。この「運転停止」が彼らの人生にとって思いがけないターニングポイントになり、そして、あたたかな涙と希望が湧いてくる、感動のヒューマン・ミステリー。
15万部突破。希望と感動のミステリー第1位の文字に惹かれて購入しました。
普通ではないけれど、起こらなくはない日常の最後にあるちょっとした救い。
やはり、物語のラストはハッピーエンドであって欲しい。
描写がとても丁寧な作品です。
登場人物は、性別も年齢も置かれている環境も様々だけれど、彼、彼女らの細かな心の動きまでリアルに感じられるので、一緒になって喜んだり、悲しんだり、キュンとしたり、鈍よりしたり、人身事故で止まった電車の居心地の悪さまで体験できました。
物語は、登場人物の携わる仕事に関しても細かく書かれているので、その仕事の大変さや何を大切にして日々働いているのか、その時の思いなどを知れたのも面白かったです。
アスリートの恋人になるとはこんなに大変なのか。芸術家の頭の中はこんな風になっているのかと、楽しめました。
この作品は本で読むよりも、旬の俳優さん、女優さんを起用して映像化した方が面白い様な気がします。
読み終えたあと、映画『エープリルフールズ』が頭に浮かびました。
正直、流石、No.1の作品だと思いました。
是非、読んでください!とは言えませんし、凄く感動します!泣けます!とも言えません…。
登場人物は個性的なのですが、一話が短く獲られる情報が少ないからでしょうか、いつも読む本に比べると少し物足りなく感じられました。
ですが、続編があったら間違いなく購入します。(その後が気になります。)
悪くはないけれど、ちょっと何かが物足りない。そんな感想を持ちました。