今回の主人公は私よりほんの少し年上の独身の女性たち。物語は親子関係を主軸にして進んで行きます。多くは父親と娘の関係について書かれており、残りの数話は年老いた母親との関係や友情にクローズアップして書かれています。
私は物心がつく頃には両親が離婚をしていたので、私にとっての父親は母や祖母の話の中にしかいません。
父がいないことの不都合さはほぼなく、あげるなら、その年齢の男性とどう接していいのか分からないことぐらいです。そのせいか、父に想いを馳せたことは正直一度もありません…。その為、主人公の気持ちを想像するしかなく、物語の半分以上はストーリーの切なさに涙するも、感情を掘り下げたり深く考えたりができませんでした。
この本に登場する父親という存在は他の誰ともすり替えることはできないと思います。父という存在の大きさを感じることになったのは思わぬ発見でした。
父親という存在が娘にもたらす物はなんなのだろう。
もし、私にも一緒に時を過ごす父親がいたならば、私はもっと違う人格になっていたと思います。良くなっているのか、悪くなっているのかは分からないけれど(笑)
生きているのか死んでいるのかも分からないお父さんについて今日は少し考えてみたいと思います。
地元で一人で暮らす年老いた母とのお話は読んでいてとても苦しくなりました。
母はまだ58才。バリバリ仕事をし、大きな健康問題はありません。それでも、年々母の老いを感じますし、力関係が少しずつ私の方が上になっている様に感じています。
それすらとてつもなく淋しく感じるのに、このお話の様になってしまったらと考えると不安で仕方ありません。
私は母に叱られたことが余りありません。
祖母が怒る役目だったからです。大人げないけれど、祖母にカチンときた際にはお互い様とそのまま態度に出します。ですが、母にはそれができない気がします。
母が私を困らせる時、大きな壁にぶち当たりそうです。
最後のお話は以前読んだ本の続きが収録されていました。知らずに購入したのでかなり嬉しい発見でした。
共感できないお話も物語として面白いと感じられましたし、そこにこのサプライズ。ますます原田マハさんが好きになりました。
帯びに疲れた心に必ず効く読む特効薬とありそれを期待して購入しましたが、私は真逆でどっと疲れました(笑)
そして、私が欲しかった答えも得ることはできませんでした。
他の方はこの本を読んでどう感じたのか気になる作品です。